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私が覚えている子供時代

2009/04/28
私は長く「彼女」と人生を歩んで来た。
「彼女」自身は気付かなくても、私は影となり、二人で生きて来たつもりだった。

家族構成は、祖父に祖母、両親に三つ上の姉。
片田舎にある、どこにでもあるような普通の家庭だった。

体格は小柄で運動神経はあまり良くなかった。
そのせいか、その他のことで他人に勝ろうという気持ちが強かった。

性格は積極的ではなかったが、好奇心は旺盛。特に知らない熟語はよく父に尋ねた。
母曰く「情緒不安定な子」だったようだ。
母との口論で「死んでやる!」とタンカを切り、包丁を要求したのが5歳だったと記憶している。
物心がつくころには隣で眠る祖母を見ながら、「いつしか皆に訪れるであろう死」を恐れ、
「死」についてぼんやりと考えていた。

得意なことは、一人遊び。
両親は共働きで、家には畑仕事をしている祖父母がいた。
近所には同い年の女の子の友達がおらず、人形のリカちゃんをいつも遊び相手にしていた。

小学校へ入学と同時に姉と比べられることが増える。
当時は今では考えられないくらいだらしなかった。
(時間割はしない、字は汚い、給食エプロンはぐちゃぐちゃ…散々だった)
しかし、姉の「躾」により、潔癖までのきっちりさんとなる。
(常にハンカチとティッシュを持ち歩き、下敷きと定規を使ってノートを美しく取り、
目に付くものは綺麗に片付ける、という具合にまでなる)

同時に姉に倣って成績も(体育以外は)常にトップクラスだった。
両親はそんな「彼女」を褒め、誇りにした。
いつしか、姉に追いつき、追い越そうとしていた。
成績至上主義だったように思う。

習い事は、習字にピアノ、そろばん、一時はバレーボールもしていた。
バレーボールは身長にも恵まれず、ピアノに専念するために一年で辞める。
他のどの習い事も並の子よりも秀でていた。
特に、そろばん塾で毎週土曜日に行われる「勝ち抜き」という他人と競う時間を楽しみにしていた。
年上の子さえも、自分に勝てないことが公に示される時だった。

小学校高学年~中学時代に渡って、イジメを受ける。
成績が優秀なことと、生意気な態度が反感を買ったらしい。
しかし、「彼女」は悔し涙を飲み、
「あの子らはどうやっても自分に届かないからこうするしかない」と捉えていた模様。
(母もそのようなことを言っていた覚えがある)

家庭内は母と祖母の対立が激化、小学校4年くらいのある朝から食事が別々になっていた。
しかし、依然、祖父や祖母と寝ていたため、結果として嫁・姑の板挟みになる。
(姉は数年前に改築された2階で寝ていた)
そして、それが更なる不運な出来事の引き金になる。

やがて、県内でも有名な進学校の高校へ進学。(姉は県外の大学へ進学し、下宿)
両親は勉強に対して何も言わなかった。だが、成績が優秀な「彼女」を自慢する節はあった。
「彼女」の目標は「両親の手を煩わせないこと」だった。
夕食が済むと、自室へ自ら向かい、そこそこに勉強、
合間に漠然と考え事をしていた。
たまに家を抜け出し、近所をジョギングして漠然とするそれを発散していた。
そして、通学中や授業中に体調不良を訴えては、早退することもよくあった。

高校在学中に祖父は死去、伴侶を失った祖母はみるみるうちに元気がなくなり、
認知症を患った。
均衡を失って嫁・姑のバランスは崩れた。
その頃から母は調子を乱し始めた。
ある時期が来ると、突然、家事ストライキを起こし、荒れた。
口もきいてもらえなかった。

祖母を心配しつつ、母の顔色を窺い、父を気遣った。

それが高校3年間(+大学時代も)続いた。
三者の心境をわかるのは、自分しかいなかったのだと「彼女」は言っていた。

その中、無事「彼女」は有名私立大と中堅国立大に合格。
経済的負担の少ない国立大へ進学を決めた。



常に「彼女」が目指したのは「手間のかからないいい子」「優秀な子」だった。
決して強要された訳ではなかったのだが、自然とそれが身に付いていった。
同性の姉との競争のせいなのか、当初の劣等感の裏返しなのかわからないが、
高校時代までかなり固執していた気がする。
どちらにせよ、「いい子」でいることが祖父母にも両親にも喜ばれたことは言うまでもないだろう。

従姉妹も皆優秀だった。
競争する環境は既にあったのかもしれない。

こうして、今から振り返って書いていても、まるで他人のことのように感じる。
あれだけ、必死に二人で生きて来たのに。
色のついていない、古いコマ落としのフィルムが映し出されるような、そんな記憶。

昔は鮮やかだったのに、
もう、そんな記憶は必要ないと言わんばかり。
そう言えば、楽しかった記憶も今では思い出せない。
残っているのは、薄暗い灰色の記憶ばかり…。

いつか、また「彼女」が忘れている私の記憶が必要になる時が来るだろう。
でも、それを出来れば避けたい…そう思うのは私だけだろうか…。

自然と忘れられたらどんなにいいか…。私はそう思えて仕方がない。




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