10月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫12月

スポンサーサイト

--/--/--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:-- スポンサー広告

人を支えるということ―境界例と鬱の回復―

2010/11/19
最近人間関係のトラブルで悩むことが多く、書店でふと目にとまった本を購入した。
そう、近年「性格の偏り」と称される境界性人格障害らしき人に悩まされている。
うまく接するにはどうしていいのかわからず、ほとほと困ることがあった。


『境界性パーソナリティー』岡田尊司 幻冬舎新書 2009


初めは眉を顰めて読んでいたが、境界性人格障害の考えを改めさせられた本であった。
境界性人格障害は治りにくい、それはもともとの性格の問題だから、という私の認知は覆された。

確かに「発症」しやすい性格などはあるものの、誰でも発症する。
その原因は乳幼児期からの親子関係による人格形成にまで遡るものであり
(つまりはこれを性格と捉えることで上記のように認知していた)、
発症したからには治るものである。
どうやらそういうことらしい。


ついでにDIDとの関連も挙げておくとするなら、
DIDはしばしば統合失調症や境界性人格障害とも間違って診断されるものであり、
合併して発症していることもある。
DIDの診断基準としても、一部境界性人格障害の基準を使うものだったと記憶している。
尚、詐病でDIDを騙る場合は、境界性人格障害のうちの演技性人格障害などが疑われる場合もある。
(詐病の場合、虚偽性障害であることもある。)


どうも、境界性人格障害というと、所謂「困ったちゃん」のレッテルを貼られることが多く、
回復も困難であるためかイメージが悪い場合が多くみられる。
うつ病を併発している場合も多く、本人が一番自分の確立が出来ず苦しんでいることが多いらしい。
しかし、その性格の偏りをいかに修正していくかで「症状」はなくなっていくと言う。
つまり、そういう意味では考えようによってはうつ病などと重なる部分が多いのかもしれない。
うつ病にかかりやすい典型的な人とは、元来生真面目で頑張り屋さんな人が多い。
境界性人格障害も同じらしいのだが、発症して正反対の状態に陥っているだけだと言う。
(これは私のイメージとは正反対だった。)

よく境界性人格障害というと、逆切れや見捨てられ感が有名である。
周りも両極端な激しい怒りと執着の両方に振り回されることが多いだろう。

境界性人格障害の人というのは、両価的な(アンビバレント)価値観を持っていることが多く、
(つまり0か100かという極端な価値観)
自分と他人との境界が曖昧になるため、自分と他人を混同することが見られるそうだ。
(自分の問題を周囲の問題にすり替えてしまうため、周囲は疲弊する)
また、枠組みや目的のない環境が苦手であることから、
カウンセリングやサポートを行う人にとっては枠組み(主体性・責任の所在)や目的(治療の目標)を
定めることが必要だという。

常に適度な距離を取り、細く長く、穏やかに、しかし冷静に接することが必要だということだ。
話を聞き方としては、
「そうなんだね。○○なことがあって、君はそう思ったんだね。」
などのように、鏡のようなスタンスで聞くことが求められる。
話を要約したり、相手の気持ちを聞いたりすることも有効だ。
それによって、患者は自分の言葉などを客観的に冷静に捉えられるようになり、
感情のコントロールが出来るということらしいのだ。
これは境界性人格障害の人への接し方だけでなく、
全ての人の話を聞くテクニックとして活用できるのではないか。
人は話を聞いてもらって気持ちを汲んでもらったと思えると、納得をする。

尚、私はというと、今は境界性人格障害の症状は出ていない。
何故なら、夫の適切なサポートによって回復したからである。
夫のサポートの態勢はまさにこの本に記されている通りであったのだ。
基本的に目的と主体性の所在を示してくれており、
自分で考え、選択するということを私(たち)を信頼した上で任せてくれた。
また、夫の出来ること・出来ないことをハッキリ提示してくれたし、
何があっても裏切らないことを常に我慢強く言ってくれた。

この本を読み終えたとき、私は内心「夫はこの本を読んで行動したのではないのか」と疑ったほどだった。
(もちろん、この本が出されたのは2009年なので、夫と会った3年前など知るわけもない。)
私は、夫のアプローチの仕方が間違えてはなかったということを確信した。

メンタル関係の本と言えば、病気の定義や症例だけ書かれており、
解決策などはあまり言及されていないことが多い。
しかし、この本については、境界性人格障害の人に対しての接し方だけでなく、
(特に私は)親としての在り方や、人としての接し方、
とても広い範囲のことに有用だと感じた。
きちんとアプローチもされていて読後感もよく、
当事者もサポート側の方も興味があるなら是非手にとって欲しい本の一つだと思う。


余談になるが、一つ疑問がある。
この本を読むと、私自身境界性人格障害を発症していた時期があったのかもしれないと思った。
鬱がひどい時期は境界性人格障害の特有の症状が色濃く出ていた。
(人を試したり、買い物依存症になったり、自傷行為や自殺企図など)
この本では、うつ病と境界性人格障害は重なる部分が多いのはわかるのだが、
あまりにも似すぎていて分類が困難であることである。
ついでに言うならば、PTSDを併発していることも多いらしく、
更に境界性人格障害との区別は困難になる。
うつ病の典型は過労など肉体的なストレスだと言われてしまえばそれまでだが、
非常に説明のつかない部分が多い。
精神の病の理由はストレスが殆どであると言えばそうなのだが、
それでは治療のプロセスが異なってくるのだから、
少しハッキリ明示して欲しいところである。

更にもう一つの疑問。
日常で最近良く聞かれる「境界性人格障害」とこの本に書いてあった「境界性人格障害」、
この二つは本当に同じものなのだろうか。
日常で聞くのは、周囲は困っているけれども本人は意に介していない、という印象のものが多い。
それとも、程度の問題なのであろうか。
少々気になるところではある。


さて、私はこの本を読んでみて、非常に良かったと思っている。
何故なら、境界性人格障害は「治る」と非常に熟成した魅力的な人間になると書かれてあるのだ。
大袈裟かもしれないが、病を乗り越えた人はそれだけ自分の人生について考える濃密な時間を与えられ、
またそれを自らの力に変えたということで、人間として一回り大きいのだと思う。
精神の病に関しての偏見は多い。
うつ病でも、境界性人格障害や統合失調症への偏見がないわけではない。
同じうつ病でも非定形(新型)への偏見はあり、メランコリー(うつ病の典型)の人は
同じうつ病で括られたくないと言う人さえいる。
しかし、それを乗り越えた人にはちゃんと「御褒美」がもらえるということだから、
この世の中も捨てたものではない(笑)と思えるのである。

私たちも少しでも熟成した人間になっていればいい。
そう思う初冬だ。




↓一日一回有効です。応援よろしくお願いします。
スポンサーサイト
23:18 病気 | コメント(5)
 | HOME | 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。